2014年9月20日土曜日

原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱

http://www.ccnejapan.com/?page_id=3000

the “Citizens’ Commission on Nuclear Energy (CCNE)

(2014-09-20)
原子力市民委員会の皆様,
作成,ありがとうございます。
このような地道な作業が,よりより社会を作って行くと信じています。





2014年9月19日金曜日

宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス) 新書

村山 斉

2014-09-19

私たちの体を作っている原子や電子は,「物質」でできています。宇宙には,「物質」とは反対の電荷を持った「反物質」があります。例えば,電子の反物質は,「陽電子」と呼ばれ,宇宙からやってくる「宇宙線」の中に見つかっています。「物質」と「反物質」が出会うと,両方とも消滅して光になります。また,光から物質と反物質が生まれる事もあります。

というように私たちは不思議な世界に住んでいます。もしかしたら,私たちの考えが足りなくて,本当はもっと簡単な説明があるかも知れません。いずれにしても,「我々の宇宙がなぜ存在するか」,「そもそも時間の始まりはあるのか」という疑問は考えれば考えるほど分からなくなります。

このような疑問を真剣に毎日考えている人々が物理や宇宙の研究者です。実は,私もその一人です。この本は,そんな研究を行うには世界でもトップクラスである,IPMUという研究機関の所長が書いた解説書です。
特に,ニュートリノ,物質と反物質,ヒッグス粒子,インフレーションなど最近の話題が分かりやすく説明されています。



2014年9月11日木曜日

ペルセウス銀河団からの暗黒物質X線の探査

2014年秋季年会

日程:2014年9月11日(木)~13日(土)
場所:山形大学小白川キャンパス(山形県山形市)

http://www.asj.or.jp/nenkai/2014b/T.html

暗黒物質の正体を探ることは,現代物理学の中でも最大の課題である。
現在,冷たい粒子が有力候補とされているが,直接探査実験や加速器実験でもその証拠が見つかっていない。
また,宇宙における銀河スケール以下での暗黒物質の分布は,冷たい粒子だけでは説明できない。
これらから,より軽い粒子が「暖かい暗黒物質」として検討されている。
この暗黒物質が,keV程度の質量を持っていると,X線を放射する可能性がある。
例えば,sterile neutrinoがその候補の一つである。
これらの粒子は,相互作用が非常に弱く,地上での検出は困難を極める。
唯一の検証方法が,宇宙の暗黒物質からの放射である。
最近,二つのグループが独立に,ペルセウス銀河団とアンドロメダ銀河から,
原子起源では説明ができないラインX線放射をほぼ同じエネルギー(約3.5keV)に検出した
(Bulbul et al. 2014; Boyarsky et al. 2014)。
彼らは,これらがSterile NeutrinoからのX線であることを検討している。
ただし,このX線放射は非常に弱く,検出器起源の可能性も否定できない。
我々は,このラインX線の起源を確かめるため,
「すざく」衛星によるペルセウス銀河団の長時間およびマッピング観測データを用いた。
初期的な解析では,3.5keVラインは見えていない。
ラインが見えない場合にも,暗黒物質の性質についてのユニークな制限ができる。
これらの結果について,報告する。
また,ASTRO-Hによる観測についても検討している。

銀河団外縁部のエントロピー異常の原因の検証

栗山 翼(東京理科大学)
2014-9-11 

http://www.asj.or.jp/nenkai/2014b/T.html
天文学会


銀河団は大規模構造からの質量降着によって現在も成長していると考えられている。宇宙論的シミュレーショ ンでは、質量降着時の衝撃波によってエントロピーは半径の 1.1 乗に比例して上昇すると考えられていた。しかし 「すざく」衛星による銀河団外縁部までの観測からエントロピーは r500 までしか上昇せず、以降はほぼ一定の値 となることが確認された (e.g., Sato et al. 2012)。 異常の原因の一つとして外縁部の高温ガスの密度むらによっ て密度を過大評価していることが挙げられている (Simionescu et al. 2011)。降着してきたガス塊が銀河団ガスと 十分混ざっていない場合外縁部のガス密度にはむらが生じる。そのためガス塊の存在が確認出来れば密度が受ける影響を評価し得る。ガス塊が十分大きく明るい場合周囲よりも明るい X 線源として観測出来る可能性がある。 近傍の中規模銀河団Abell 2199 (z=0.03, kT=4 keV)は南北に延びるフィラメント上に位置しており、外縁部 でのエントロピー異常を我々は既に報告した (佐藤他、2012 年春季年会)。今回、Abell 2199 銀河団の外縁部に ついて「すざく」衛星によるビリアル半径付近までのマッピング観測に加えて「XMM-Newton」衛星でフィラ メント方向を含む 2 領域を新たに観測した。銀河団外縁部での X 線点源数 (logN-logS 関係) Lockman hole, COSMOS 領域など、明るい天体のいない領域と比較したところ両者と良く一致した。ただし、検出された X 線 源について詳細なスペクトル解析を行ったところ、少数ながら1-3 keVの熱的プラズマからのスペクトルを示すX 線源が存在した。本講演ではガス塊による密度むらがエントロピーにどれだけ影響し得るかについて議論する。