2013年6月1日土曜日

私たちはどこに行くのか


こんな授業をしてみたい。

「自然科学概論」: タイトル「私たちはどこに行くのか」

人類は,アフリカで生まれ,世界中に広がった。我々は,さらに地球を離れ,宇宙に旅立つだろうか。この疑問を我々が持っている全ての知識を総動員して全員で考える。人類の歴史は争いの連続であり,このまま奪い合いを続けると,宇宙への旅に出る前に,人類は滅んでしまう。一方で,我々は芸術と科学を発展させ,未来への希望を子孫に残してきた。本物の芸術は,我々が共通の価値観を共有し,共生し続けていけることを教えてくれる。また,我々は量子力学と相対論を作りだし,素粒子の振る舞いから137億年に広がる全宇宙の姿を明らかにしてきた。科学は,技術の進歩の基礎となり,70億人の生活を支えている。これらの進歩を,宇宙への移住へと発展させることができるだろうか。

地球は,どのようにして誕生したのか。地球で生命はどう誕生したのか。単純な細胞から人間までどう進化してきたか。これらは数十億年の地球の環境の変化とどう関係しているだろう。太陽系の他の惑星には,生命は存在しないのか。このような尽きない疑問に挑んできた自然科学を俯瞰する。

原子は分子を作り,それによってDNA,細胞,生命が作られている。DNAの秘密は,1950年代にX線回折を用いてワトソンとクリックによって発見された。X線を発見したのは,1900年代のレントゲンである。そのすぐ後には,電子,中性子,ガンマ線といった放射線が発見された。これらは,電気と磁気を統一した電磁波=光という新しい概念をもたらした。同時に,これらの放射線を用いて原子核が発見され,光も物質も波であると同時に粒子であるとする量子力学の誕生のきっかけとなった。さらに,これらは,原子力エネルギーの利用をもたらした。この時期には,光,質量,エネルギー,時空を結びつけるアインシュタインの相対論も誕生した。X線の発見からたった50年の科学の発展とそれに続く今日までの技術の進歩は,科学と人類の関係を大きく変えた。このような20世紀の発見と科学の歴史を振り返り,社会との関係を学ぶ。

圧倒的な影響力をもつ科学を手にした今,私たちはその科学をどう使えばよいのだろうか。この問題を考えるため,巨大な科学プロジェクト,例えば,日本の天文衛星計画を紹介する。また,太陽系以外の惑星,さらには地球外の生命の探査の方法や意義を考える。最後,現代人にとって避けられない課題であるエネルギーと地球の環境を取り上げる。


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