2014年4月28日月曜日

素粒子物理入門―基本概念から最先端まで


渡邊靖志
  • 出版社: 培風館 (2002/04)
  • amazon review, ****

  • 理系の大学1,2年程度むけの教科書。出来るだけ数式に頼らず,素粒子物理学を概観している。最近,発見され,2012(?)年のノーベル賞にもなった「ヒッグス粒子」についても説明がある。丁寧,時にはユーモアに概観している。

  • 目で見える物質は,分子や原子でできている。原子は「原子核」と「電子」からできている。「原子核」は,「陽子」と「中性子」からできている。原子の周りには,それよりさらに小さく軽い「電子」が回っている。「陽子」や「中性子」は,「クオーク」と呼ばれる「これだけでは単独では存在しない」なにかでできている。これらの微小の世界では,日常の常識では説明できない現象が起こり,「量子力学」と「特殊相対論」で物事が進む。これがまったく不思議な「素粒子」の世界だ。

  • 原子の大きさは,おおよそ10の-10乗m。
  • 「陽子」や「中性子」は,さらに小さく,おおよそ10の-15乗m。
  • 「陽子」や「中性子」の質量は,おおよそ10の-27乗kg。

  • 私は,宇宙の研究をしている。宇宙は,現在,膨張しており,138億年前には,原子より小さな大きさだったと考えられている。この「宇宙の始まり」は,素粒子の物理を使って初めて知ることができる。さらに,宇宙には,「暗黒物質」と呼ばれる直接に観測できない謎の物質が「普通の物質」以上にあると考えられている。この正体は何なのか?これを捕まえるには,どうしたら良いか?このような疑問を考えるためにも,まずは素粒子の物理が必要だ。

  • 素粒子が専門ではない研究者にもお勧めします。

  • その他のキーワード。
  • 反粒子,
  • ニュートリノ
  • バリオン,レプトン,加速器,4つの相互作用,弱い力,強い力,ゲージ不変性,対称性,
  • 宇宙の始まり

2014年4月25日金曜日

A single low-energy, iron-poor supernova as the source of metals in the star SMSS J031300.36−670839.3

http://www.nature.com/nature/journal/v506/n7489/full/nature12990.html


地球外生命――われわれは孤独か (岩波新書)


タイトルに偽りなしです。地球以外に,生命,特に知的な生命がいるのかどうかを「科学的に」挑戦しています。

各章で,
1. 地球の生命の限界,
2. 生命の進化,
3. 地球のでき方と環境,
4. 太陽系の中の生命,
5. 知的生命の可能性
について,最先端の科学の回答を説明しています。

最近,太陽系以外の星にも,3000個以上もの惑星が見つかっています。中には,太陽系と同じく複数の惑星が回っている星もいくつも見つかっています。半分以上の星には,何らかの惑星があるのが普通のようです。

特に面白いのは,5.3の
「地球外生命と交信する」のアクティブSETIです。
大きなアンテナを使って,地球外の知的生命からの信号を探すのがSETI(Search for Extra-Terrestrial Intelligence)です。信号を待ち受けるのではなく,こちらからも電波で信号を送ってしまおうというのがアクティブSETIです。特に惑星が見つかっているできるだけ近い星に向かってメッセージを送っているようです。ある星の場合,44年で信号が往復できるようです。気のながい仕事です。


星は動き回っています。数光年先にある,太陽系に近い星が,たまたま,太陽系のそばをかすめることがあるようです。
例えば,現在,6光年先にある「バーナード星」,今から約1万年後には,太陽系に約3.75光年まで最接近するそうです。
この星の惑星に住む仲間との遭遇が楽しみです。

天の川の中には,太陽のような星が1000億個近くあります。さらに,宇宙には,天の川のような銀河が,これまた1000億以上あります。したがって,地球のような惑星が無数にあります。その中で,地球にだけ「生命」が誕生するのは,とてもあり得ないと思います。したがって,宇宙には地球以外にも生命が存在するでしょう。問題は,その生命が,人間のような「知的な生命」に進化しているかどうかです。また,そもそも「生命」とはなんでしょう? 

A Universe from Nothing: Why There Is Something Rather than Nothing

amazon review in Japanese
(copy)
2014年3月,「宇宙の初期に起こったインフレーションによる重力波」の証拠を発見したという発表がアメリカのBICEP2グループからありました。

「インフレーション」とは,現在の所,もっとも有力な宇宙の始まりを説明するモデルです。このモデルによると,何も無かった宇宙が量子論的な揺らぎによって非常に短時間(0.0000....1秒; 10の-36乗)の間に急激に膨張(1000....000倍; 10の26乗)しました。
この理論を使わないと説明できない,いろいろな観測事実があります。

インフレーションが本当だとすると私たちの宇宙は「無」から始まったことになります。その前には,空間も時間も無かったと考えられています。そんなことが可能なのでしょうか? そもそも時間に始まりはあるのでしょうか? これらは,人類がずっと考えてきた究極の疑問です。多くの宗教や神話では,「神」が宇宙を作ったと考えます。では「神」はだれが作ったのでしょうか?これらの疑問に,最先端の技術を用いて「観測事実に基づいて」挑んでいるのが,現代の物理学者,天文学者たちです。

この本は,タイトルにある通り「無からどうやって我々の宇宙を作るか」をできるだけ分かりやすく,かつ現在の科学理論に基づき説明しようとするものです。科学的な説明に加えて,論理的にもどう考えるか,丁寧に説明しています。

著者のM.LKraussは,優れた素粒子・宇宙論研究者であり,一般向の本も何冊も書いています。

さて,本当に「無」から宇宙は作れるのでしょうか? これに科学的に答えるには,量子論と相対論が必要です。

量子論は,電子や陽子といった物質のもとになる素粒子の世界の理論です。ここでは,ある実験のエネルギーと時間は同時に正確には決められないという「不確定性原理」が重要になります。一方,アインシュタインによる相対論は,時間,空間,重力の物理です。
宇宙の始まりは,無限小の大きさであり,時間と空間の始まりなので,この二つの理論を同時に考える必要があります。アインシュタインは,この二つの理論の統合に挑みましたが,成功しませんでした。ホーキングも大きな貢献をしていますが,成功していません。
未だ,だれも成功していません。この本の主題も,この二つの統合に挑む最近の科学の成果が中心です。

さて,我々は宇宙の始まりを理解することができるでしょうか? それには,宇宙の果てに迫る非常に精密な観測が必要です。さらに,科学の常識を覆す新しいパラダイムを生み出す,ニュートンやアインシュタインに匹敵する天才が必要です。

昔の人は,「地球が丸いこと」や「太陽系が天の川の中にあり,宇宙には天の川のような銀河が大量にある」ことを知りませんでした。同じように私たちが知らない「別の世界」が存在するでしょう。もしかしたら,「我々の宇宙」以外に沢山の「宇宙」があるかもしれません。あるいは,我々の知っている4次元の世界は,実はより高い次元の世界の一部かもしれません。例えば,「超弦理論」や「M理論」がこれらを考えています。

この本は,このような現代の宇宙論を理解するきっかけになります。

なお,私も20年以上に渡り,宇宙を理解しようと日々働いていますが,未だ謎だらけです。

S.Hawking, 「A Brief history of Time」,「ホーキング,宇宙を語る」
S. Weinberg,"The first three minutes" ,「宇宙創成、最初の3分」




2014年4月24日木曜日

Arp 81: 100 Million Years Later



衝突,合体する二つの銀河。
天の川もいつかはこうなるのか?
10億年くらいは大丈夫そうだが。

2014年4月22日火曜日

An Earth-Sized Planet in the Habitable Zone of a Cool Star

http://www.sciencemag.org/content/344/6181/277.abstract

500光年先に,地球サイズでかつ「生存可能ゾーン」にある惑星が見つかりました。宇宙の大きさに比べると,500光年はかなり近い。銀河系(天の川)全体の大きさは,10万光年ちかいので,銀河系全体では,大量の地球型惑星が存在するのは間違いない。どこかに知的生命が住んでいたら,我々の地球からの信号,テレビとか携帯電話とか,を観測しているかも。面白い。



2014年4月18日金曜日

2014年4月14日月曜日

Asymmetries in core-collapse supernovae from maps of radioactive 44Ti in CassiopeiaA




(1st sentence) 
Asymmetry is required by most numerical simulations of stellar core-collapse explosions, but the form it takes differs significantly among models. 
….

(Last sentence)
As neither the spherically symmetric nor the strongly asymmetric explosion reproduces all of the observed properties of the 44Ti spatial distribution, the progenitor of the CasA remnant was most probably between these two extremes: a mildly asymmetric explosion developing low-mode convection.

2014年4月3日木曜日

HEASOFT 6.15

(2014-04-03)
** Env.
- heasoft 6.15.1 source build
- Mac OS X 10.8
Darwin Kernel Version 12.5.0
- Xcode 5.1
- Homebrew 0.9.5

** (1)
configure: error: ar not found in your $PATH. See your sysdamin.
->
check Xcode
You need Command Line Tools installed in Xcode by
「Xcode->Preferences->Downloads」->「Command Line Tools」

** (2) x86_64 Fortran compiler detected...
checking whether gfortran accepts -m32... no
configure: error: This Fortran compiler is not supported for a 32-bit/i386 build.
I used gfortran from brew
GNU Fortran (GCC) 4.8.2

see
http://heasarc.nasa.gov/docs/software/lheasoft/support.html#Mac10.8

->
brew install gfortran --enable-multilib
(thanks to Sakai-kun)
and build heasoft again.
This solves the error.