2015年3月24日火曜日

2015年3月23日月曜日

2015年3月14日土曜日

ASTRO-H特別セッション@天文学会 2015 March

http://www.asj.or.jp/tennet/archives/msg05007.html

◎ASTRO-H特別セッション:ASTRO-Hが拓くサイエンス

日時:2015年3月18日(水) 15:15〜17:15
場所:A会場
概要:  ASTRO-Hは、日本で6番目の国際X線天文台です。マイクロカロリメータ
      による超精密分光(E/ΔE~1000)や0.3~600 keVの3桁以上もの広帯域で
      の高感度観測が可能となります。銀河団、超新星残骸、ブラックホール
      近傍などの高温ガスの運動や、非熱的な放射を高感度でとらえることで、
      宇宙の進化に対する理解が大きく進展すると期待されています。 
        ASTRO-Hの製作は、国内外のメンバー、担当メーカーの努力により順調に
      進んでいます。打ち上げは2015年度,そして打上後すぐに観測提案の公
      募が始まる予定です。 天文コミュニティーのみなさまにその性能を十分
      に理解していただき、様々な波長域の観測や理論との連携について議論
      を進めることを目的に、若手による講演中心の特別セッションを企画し
      ました。

プログラム:  
       1. ASTRO-H計画の概要            高橋忠幸(JAXA/ISAS)
       2. ASTRO-Hの目指すサイエンス
          (1) ブラックホール           山田真也(首都大東京)
          (2) 超新星残骸               勝田哲 (JAXA/ISAS)
          (3) 銀河団                   田村隆幸(JAXA/ISAS)
       3. ASTRO-Hへの期待              吉田道利(広島大)

世話人:嶺重慎(京都大、代表)、大橋隆哉(首都大東京)、
        高橋忠幸(JAXA/ISAS)、北山哲(東邦大)、松下恭子(東京理科大)


2015年3月6日金曜日

2014 年度日本天文学会欧文研究報告論文賞

The PASJ excellent paper award 2014

http://www.asj.or.jp/asj/prize2014_reason.pdf
http://www.asj.or.jp/asj/prize/Ronbun.html


(copy from above)
論文題目:Suzaku Observations of Abell 1795: Cluster Emission to r200
著者:Marshall W. BAUTZ 12 (Bautz, Marshall W.; Miller, Eric D.; Sanders, Jeremy S.; Arnaud, Keith A.; Mushotzky, Richard F.; Porter, F. Scott; Hayashida, Kiyoshi; Henry, J. Patrick; Hughes, John P.; Kawaharada, Madoka; Makishima, Kazuo; Sato, Mitsuhiro; Tamura, Takayuki)
出版年等:PASJ, Vol. 61, No.5, pp.1117-1133, 2009 October 25
http://adsabs.harvard.edu/abs/2009PASJ...61.1117B

 本論文により、これまで未知だった銀河団の周辺部における高温プラズマの様子が、明ら かになってきた。それによると、この銀河団では外縁部に向けプラズマの温度がかなり速 く低下し、とくにプラズマのエントロピーが、重力加熱にもとづく理論的な予想より有意 に低くなっていることが発見された。その解釈として著者らは、銀河団の外縁部では銀河 団プラズマは静水圧平衡にはなく、とくにAbell 1795 では北方から低温のプラズマが銀河 団に向けて流れ込んでいる可能性があることを指摘している。これらの結果は、銀河団の 成長過程を見ている可能性を示唆し、また静水圧平衡を仮定した銀河団の重力場の測定に 注意を促すなど、構造形成および宇宙論の両面から高い科学的意義をもつ。 現在「すざく」を用いた銀河団外縁部の研究は、全世界レベルで精力的に行われてお り、その中でも、銀河団の外縁部でエントロピーが予想より低い現象は、複数の銀河団で 発見されつつある。その解釈としては著者らが提唱した「静水圧平衡からの逸脱」のほ か、「プラズマが非一様になっている」、「イオンは加熱されているが観測される電子温 度がまだ追いついていない」など、複数の説が提唱され議論が続いている。本論文はこう した新しい研究に先鞭をつけた論文の一つであり、とくに銀河団のビリアル半径に迫る外 縁部まで、X線で探ることが可能であることを実証した意義をもつ。さらに本論文は、地 球周辺で太陽風が荷電交換反応により発生する軟X 線放射の変動を慎重に評価するなど、 XIS のバックグラウンド(複数成分)を注意深く解析し、また装置の系統誤差を慎重に評 価することによって、とりわけ信頼度の高い結果を導いており、高く評価できる。
本論文は被引用回数89 (ADS 調べ)をもつ。その成果はX 線天文学の分野に留まら ず、SDSSなどの銀河サーベイデータを用いた銀河団とその大規模構造との相互作用の研 究や、重力レンズから計算される銀河団の重力分布とX線データとの詳しい比較など、広 汎な研究を促している。また銀河団形成のシミュレーションや、銀河団を用いた宇宙論パ ラメータの決定にも、インパクトを及ぼしつつある。このように本論文は、天文学の進歩 に大きく貢献している。
以上の理由により、本論文に2014 年度日本天文学会欧文研究報告論文賞を授与する。