2008年3月20日木曜日

「すざく」衛星による銀河団 Abell 2052の観測

日本天文学会
@ 東京


要項

「すざく」衛星による銀河団 Abell 2052の観測について報告する。 この天体は、温度 3 keV程度の比較的低温のリラックスした近傍(z=0.036)のX線で明るい銀河団である。 XMM-Newton衛星の観測により、''soft X-ray excess''を示す銀河団の一つであり、 その起源がWHIM (大規模構造に付随する中低温銀河間ガス) である可能性が示唆されている (Kaastra et al. 2003)。

観測は, 2005年8月に, 四ヶ所のポインティングで行われ, おおよそ30分角の領域がカバーされた(有効観測時間 72 ks)。 加えて、バックグランドの見積もりのため、2007年7月に約4度角離れたオフセット観測もおこなった。 XISを用いて、 少なくとも中心から半径 15分角(600 kpc)まで広がったX線放射を検出することができた。 さらに, ICMの放射の弱い外側では, OVII, OVIIIの輝線を完全に分離し、 その空間分布を測定することができた。 銀河団周辺での''soft X-ray excess''、特にOVIIのライン強度は、 オフセット観測によるデータに比べ、2倍ほど明るいことが観測された。 これらの''soft X-ray excess''の起源として、 (1) 銀河団とは関係ない天の川銀河内のガス、および (2) A2052に付随するWHIM の可能性を議論する。 銀河団の外側での温度構造、重元素分布の測定結果についても報告する。

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